ネットワークエンジニアのITブログ

長らくネットワークで生活してきましたが、ここ数年クラウドとサーバー系に触れる機会が増えて、日々成長しています。最近のお気に入りはNSXALBとGoogle Cloud。

AWS Summit TokyoでVMCについて講演

昨年の同時期はInterop TokyoのVMware社ブースで登壇していたのですが、今回は、AWS Summit TokyoとInterop Tokyoが同時開催ということで、富士ソフトAWS Suumitに出展しているので、こちらで6月12日に「VMware Cloud on AWSを最大限に活用するユースケースのご紹介」テーマで講演したのでご紹介します。

 

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 VMC on AWSって?

今回のテーマは、VMC on AWSは何となくわかるけど、実際にはどのようなシチュエーションで利用することが望ましいのか、ユースケースと共に紹介しました。

VMC on AWSは、オンプレミスとクラウドに設置されているvCenterを連携することで管理を一元化できたり、オンプレミスとクラウド環境が同じ基盤であるため、仮想マシンに変更を加えることなく移行することが可能となっており、逆にオンプレミス環境に戻すことも容易に実施できます。

また、クラウドのメリットであるハードウェアの管理から解放されたり、AWSネイティブサービスのEC2やS3、ラムダなどのサービスとENIを経由して高速且つ低遅延で連携できるなど、AWSの様々なサービスを活用することが可能です。

よくAWSのEC2上にESXiを構築したしょせんNasted環境でしょ?といわれますが、AWSのベアメタルサーバ上に直接ESXiやvSAN,NSXが導入されております。そして運用面についてはVMware社が行っておりますので、何かあった際にはVMware社が対応を実施してくれます。

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採用のメリットは?

1.オンプレミスの操作感をクラウド

オンプレミスの操作感をクラウドへということで、こちらはオンプレのvCenterの管理画面となっております。右側がVMC上に構築したvCenterの管理画面となっておりますが、ご覧の通りほとんど同じ作りとなっています。

仮想マシンの作成や変更・削除などの操作を同じ方法で行うことができますので新しく操作を覚えることが不要で、クラウドの新しい環境を今までと同じ操作感で運用することができます。

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 2.容易な仮想マシンの移行(VMware HCX)

仮想マシンの移行にはVMware HCXという機能を利用してクラウドへ容易に移行することができます。オンプレミス環境からの移行は片道キップでなく、クラウドからオンプレミスにも容易に戻すことも可能です。

HCXでの移行には3つ特徴があります。

1点目は、数秒のダウンタイムで仮想マシンを移行することが可能です。

2点目は、同じVmwareの基盤で構築されていますので仮想マシンのコンバートなど必要なく、vMotionのようにそのままクラウドへもっていくことができます。仮にAWSのEC2へ移行しようとしますと、停止してからAMI(アミ)といわれるテンプレートに変換してEC2へインポートするような形となります。

3点目は、ネットワーク設定についても何も変更せずにそのまま移行することも可能です。ただしAWS側のネットワーク設計は別途する必要があります。

 

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さらに、VMC on AWSのvCenterとオンプレのvCenterをハイブリッドリンクモードという機能でリンクさせて移行することで、仮想マシンを完全無停止でクラウドへ移行することが可能です。

前提としてAWS専用線サービスであるDirect Connectが必要となりますが、専用線ですので高スループットと低遅延での移行を実現できます。また、複数のvCenterを1つの画面から一元管理することも可能となります。

 

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3.AWSサービスとの連携

AWSサービスとの連携としましては、VMC on AWSから容易に且つ高速に利用できるようになっています。

例えばAWSのネイティブサービスであるS3を利用することで基本的にはデフォルトのvSANをデータ格納場所として利用し、頻繁に使用しない画像ファイルなどのデータの保存先を安価なS3にしたり、バックアップデータ保存先としてS3を利用したりと様々な用途に活用できます。

S3に関してはご存知の方も多いとは思いますが、保存されたファイルを自動で複製し3箇所以上のDCで保持し、耐久性に関してイレブンナインのストレージとなっています。

 

ユースケース

オンプレミスのリソース追加

システムの運用をしていると、いつの間にかリソースがかつかつの状態になっていたり、いざサーバを増設しようとしても、今から発注していては間に合わない、ラックもいっぱいで増設が必要なってことがあったります。

しかし、VMC on AWSであれば、約15分でホストを追加可能で、スピーディにリソースを追加することをできます。さらにElastic DRS機能を利用するとリソース不足が発生した場合に自動でホストを追加してくれます。また、リソースに余裕ができた場合はホストを自動で削除することも可能です。

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サーバ拡張時のバージョン管理

新しく導入するサーバがVMware ESXi 6.7からしか対応していない。しかも既存のvCenterは5.5なので、ESXi6.7は管理ができない。ということはvCenterをバージョンアップしないといけないということがあったりします。

しかし、VMC on AWSでは自動的にバージョンアップしてくれるためバージョンを気にする必要はありません。これによりサポートライフサイクルを気にしてバージョンアップ計画をたてる必要もありません。

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DRサイト構築

DRサイトを検討したいけど、DCの選定?回線?何から手をつければいいかわからない。でもこれ以上ハードウェアを増やしたくないし、そもそも構築する時間もないし・・・ということがあります。

しかし、VMC on AWSであれば、管理画面からSDDCを作成するとすぐにデプロイが始まります。デプロイは約2時間ぐらいなので、すぐに環境を利用することが可能です。また、クラウド製品のためオンプレミス環境で必要となるデータセンタや回線、HW/SW、加えて大掛かりな作業もなく簡単にDRサイトとして利用することができます。

さらにVMC on AWSの大阪リージョンが2019年内にリリースされると発表されているので、オンプレミスやAWS東京リージョンをメインで利用して、大阪リージョンをDRやバックアップ先として利用するケースが多くなると考えられます。

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VMC on AWSVMwareユーザに恩恵をもたらすということで、移行が簡単で、運用もそのままという、クラウドのメリットを享受できるソリューションです。

AWSを含め、様々なクラウドを検討されているお客様は多いのではないかと思いますが、VMwareと非常に親和性の高いVMC on AWSをまずは検討してみてはいかがでしょうか。