ネットワークエンジニアのITブログ

長らくネットワークで生活してきましたが、ここ数年クラウドとサーバー系に触れる機会が増えて、日々成長しています。最近のお気に入りはNSXALBとGoogle Cloud。

Azure VMware Solutionの5つの価値①

前回までAVSの概要を紹介しましたが、ここからはもう少し踏み込んで特徴をお伝えしていきます。

パブリッククラウドとしてAWSGCP、Azureの3大クラウドがありますが、これらのサービスと比較してどのような特徴があるのか5つ観点で左から順に紹介していきます。

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1.グローバル

まず1点目は、グローバルで展開されているサービスであり、世界で60以上のリージョンで利用できるパブリッククラウドになっています。

そして、AVSに関しては、2020年中に11のリージョンでサービスを展開することが決まっています。現在黒丸の部分でサービスが提供されており、東日本リージョンも2020年中に利用開始になるとアナウンスされています。それ以外の水色部分についても青色部分のサービス開始後に順に利用開始になっていきます。

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ちなみに、Azureではシステムを作成するときにリストダウンから選ぶだけで、リージョンを選択できるようになっているので、特にグローバル展開されているお客様においては、それぞれの拠点の近くで、同一品質のサービスを利用できるようになるという点は、非常に大きなメリットではないでしょうか。

2.互換性

2つ目の特徴は高い互換性です。

AVSを検討するお客様は、現在稼働中のプライベートクラウドからの移行、もしくは拡張を検討されているかと思います。

その場合、既存環境の運用管理機やスクリプトといったものをできるだけ変えることなく継続できることが非常に重要になってきます。

AVSはこの点を意識した作りになっていて、非常に高い互換性が提供されています。

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例えばAVSを展開するとみなさん専用のvCenter Serverもデプロイされますので、オンプレミスと同じようにvSphere ClientやPowerCLIを使って管理することができます。

また、ネットワークに関してもvmwareが提供するネットワーク仮想化技術、NSXに完全準拠しているので、VMユーザにとっては、今まで培った経験や資産を捨てることなく、新しいプライベートクラウドにスムーズに移行できるようになっています。

それから、AVSを検討する上では、オンプレミスとの間のハイブリット利用、もしくは移行の容易性といったものが非常に重要になってきます。

これを実現するうえでキーになってくるのが、VMwareが開発に力を入れているHCXと言われる技術になります。AVSではこのHCXが標準サービスとして組み込まれていますので、追加料金なしで利用できます。

HCXから具体的にどのような機能を提供するのかは、この後説明します。

VMware HCXによるオンプレミスとの相互運用・移行

HCXはもともとハイブリットクラウドエクスチェンジと呼ばれていたサービスで、複数のVMwareプライベートクラウドを跨ぐハイブリットクラウドを実現するための様々の機能の相称になっています。

実際、いろいろな機能が提供されているのですが、特に代表的なユースケースが下側の2つになっています。

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まずネットワークの最適化として、オンプレミスとAVSの間でL2延伸を実現することができるようになっています。つまり、仮想マシンIPアドレスMACアドレスを引き継いだまま移行できます。

また、移行の手段として、いくつかの手段が提供されていますが、最も代表的なのがHCX vMotionというやり方になります。この機能によって仮想マシンを完全にダウンタイムなしで移行することができるようになっています。

HCXのいいところとして、一般的なvMotionの場合、移行元と移行先のESXのバージョンをある程度一緒でなければいけないとか、結構いろいろな制約がありますが、HCXの場合は、そのバージョン差異などもかなり互換性を吸収してくれる形になっていますので、ある程度古い環境であっても移行できるという特徴を持ったサービスになっています。

3.クラウド統合

それでは次の特徴としてクラウド統合というところを見ていきます。

AVSはMicrosoft Azureの中のサービスの1つという位置づけで提供されています。

なので、例えば、AVS上で動いている仮想マシンと任意のPaaSを組み合わせて、よりリッチなシステムを構成することが簡単にできるようになっています。

例えば、典型的なシナリオだとデータベースサーバなんかは、やはりライセンス料がより安くて、かつスケーラビリティにとんだPaaSのデータベースサービスの仕組みを組み合わせて使い、それ以外の部分関しては、引き続きVMware仮想マシンを動かすと、こんなシナリオが簡単に実現できるようになっています。

加えて、それ以外にも例えば管理をより良くしていくといった観点でも使うことができるようになっています。

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AzureBackupを例にとってみると、Azure Backupは、Backup as a Serviceのようなものになっており、IaaSの仮想マシンやAVS上の仮想マシンから非常に簡単にバックアップを取って、そのバックアップ先として安価なAzure上のストレージにアーカイブデータをとっておく、そんなことができるようになっています。

なので、こういったものをうまく使って頂くことによって、単純に引越しして終わりではなく、よりリッチに、そしてより安価に運用管理をしていくといったことができるようになるんじゃないでしょうか。

続きは後ほどということで、今日はこの辺で。